2008年、第4回ショルティ国際指揮コンクールの優勝者、現在、米・オーガスタ交響楽団音楽監督を務める期待の若手指揮者、シズオ・Z・クワハラ氏のTKWO初共演。この回は彼のバックボーンである「アメリカ」にスポットを当てます。フェネル氏ゆかりのイーストマン音楽院でも学んでいるクワハラ氏の紬出す音色に酔いしれて下さい。ピアノは2013年1月、NHK交響楽団との共演で話題を呼んだグッドイヤー氏が、僚友・シズオのために来日、実力をいかんなく発揮します。
1976年、日本人の両親の下東京に生まれる。10歳でアメリカに移住し、イーストマン音楽院を経て名門エール大学音楽科にて指揮を学ぶ。イェール大学ではエリエザー・デ・カルバリョ賞、アイヴズ賞を、同大大学院ではソロス・ニューアメリカン奨学金を獲得するなど優秀な成績で卒業。これまでに、デイヴィッド・エフロン、ローレンス・レイトン・スミス、レナード・スラトキン、デイヴィッド・ジンマン、ティモシー・マフィット、マイケル・ジンボのもとで研鑽を積んだ。
2002年、バージニア交響楽団のアシスタント・コンダクターに就任。その意欲的な活動が音楽監督ジョアン・ファレッタに認められ、2004年から2007年まで正指揮者を務める。就任直後に行われた定期公演ではショスタコーヴィッチの交響曲第10番を演奏、ヴァージニアン・ピロット紙にて「最近のバージニア響定期の中で最もすばらしい演奏」と評された。
2005年には米国オーケストラ連盟のオーディション(参加250名)に選ばれ、フィラデルフィア管弦楽団の特別研究員に就任。音楽監督クリストフ・エッシェンバッハのもとで研鑽を積んだほか、同管弦楽団の公演に定期的に出演。就任以降取り組んでいるベートーヴェン交響曲のチクルスでは高い評価を得た。
教育活動にも力を入れており、バージニア交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団では数多くのアウトリーチ活動、教育プログラムに参加。2001年から2年間ワシントン州アメリカン大学音楽科講師、同大学交響楽団の音楽監督を、2003年より2005年にかけて、バージニア州立ウィリアム=メリー大学音楽科講師、同大学交響楽団の音楽監督を務めた。
2006年にはPMFパシフィック・ミュージック・フェスティバルにてヴァレリー・ゲルギエフのアシスタント・コンダクターを務めるとともに、同年12月に行われた東京国際指揮者コンクールに入選を果たす。同時に日本での活動を本格的に開始、これまでに名古屋フィルハーモニー交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、東京交響楽団、大阪センチュリー交響楽団、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、セントラル愛知交響楽団と共演。2008年にはサイトウ・キネンフェスティバルにて小澤征爾のアシスタント・コンダクターを務めた。2011年には日本フィル定期演奏会にデビュー、「推進性豊かで痛快」(東条碩夫/音楽の友2011年3月号)等絶賛を博した。
2008年11月には第4回ゲオルグ・ショルティ国際指揮者コンクール(フランクフルト)にて優勝。これを機にヨーロッパでの演奏活動を開始し、2009年から、フランクフルト歌劇場管弦楽団、ドイツ放送フィルハーモニー(ザールブリュッケン)、ポーランド室内管弦楽団(ワルシャワ)、キエフ国立フィルハーモニー交響楽団(ウクライナ)への客演を行っている。2009年7月よりジョージア州オーガスタ交響楽団音楽監督。
カナダ・トロント生まれ。トロント王立音楽院を経て、フィラデルフィアのカーチス音楽院でゲーリー・グラフマン、クロード・フランクに師事。ニューヨークのジュリアード音楽院修士課程ではオクサナ・ヤブロンスカに学んだ。その後ニューヨークを拠点として活動し、トロント交響楽団、ロイヤル・リバプール・フィル、Hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)、フィラデルフィア管弦楽団、ロサンゼルス・フィル、ニューヨーク・フィル、シカゴ交響楽団等北米・ヨーロッパの主要オーケストラに次々と招かれる。2013年1月にはNHK交響楽団に招かれて日本デビューを果たし絶賛を博した。
劇的な力強さと優美で繊細なテクニックを兼ね備え、深い感情表現に満ちた演奏スタイルで、バッハからベートーヴェン、ショパン、リスト、ガーシュイン、メシアンまでを弾きこなす。特に2012年にはトロントにてベートーヴェンのピアノソナタ全32曲の1日連続演奏を敢行して話題を集め、同年、Marquis レーベルより彼のベートヴェン・ソナタ全集がリリースされた。
作曲家としても活躍しており、2013年にはパーヴォ・ヤルヴィのシンシナティ交響楽団音楽監督就任10周年記念の公演に際してファンファーレを委嘱されて好評を博した。
2012年、ソナタ32曲1日全曲演奏会を行ったその年に録音。正確無比なテクニック、詩情あふれる緩徐楽章の美しさとのコントラストは同世代のピアニストのそれをはるかに凌駕している。同盤の高い評価により、ワールドクラスのアーティストとして飛躍することとなった。
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