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コンサート情報

第159回定期演奏会

終了しました
  • 曲目

    青い水平線(ブルー・ホライズン)/F.チェザリーニ
    ダンス・ムーブメント/P.スパーク *
    交響曲 第3番/J.バーンズ *

    (*)米空軍バンドによる委嘱時の編成にて演奏いたします。
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  • 聴きどころ

    吹奏楽王道の3大名曲で、本格軌道へ!

    富樫鉄火(音楽ライター)
     2020年4月、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)第148回定期演奏会は、飯森範親の「首席客演指揮者就任記念演奏会」の予定だった。5月3日が、60年の節目となるTKWOの創立記念日なので、特筆すべきコンサートになる予定だった。だが、新型コロナ禍の蔓延で中止となってしまう。
     翌2021年4月、第153回定期でふたたび飯森が登壇するはずだったが、これもまた、緊急事態宣言の発出で中止となる。
     その後、三度目の正直で、マエストロは、今年2月の第157回定期についに登壇、エネルギッシュな名演を聴かせてくれた。その日の曲目は、当初の記念演奏会で予定されていた曲が中心だったのだが、プログラム編成の関係で漏れた曲が1つあった。それが、今回演奏される、フランコ・チェザリーニの《青い水平線(ブルー・ホライズン)》である。「海」をテーマに、深海生物や海獣、シロナガスクジラなどの姿を描く、壮大な音楽だ。特にクライマックスでは本物のクジラの“歌声”が使用され、独特な音空間が現出する。この日、なかのZERO大ホールは不思議な感動に包まれるにちがいない。
     そして、4月の第158回定期で《希望の彼方に》が演奏されたフィリップ・スパークだが、今度は名曲《ダンス・ムーブメント》が登場する!古来の「舞曲」をモダンにブラッシュ・アップした曲で、スパークの最高傑作と称するひとも多い。腕利き揃いの米空軍バンドのために書かれただけに、最高レベルのテクニックを要求される。TKWOは2004年の第80回定期で本曲に挑み、当時の常任指揮者、ダグラス・ボストックの下、いまでは伝説となった名演を繰り広げた。今回も、スピーディな魅力あふれる飯森範親のタクトで、血沸き肉躍る演奏が展開するのではないだろうか。
     そのマエストロ飯森が、“民営化”された新生TKWOの門出にぜひ演奏したいと希望して実現したのが、ジェイムズ・バーンズの《交響曲 第3番》だ。これも米空軍バンドの委嘱作である。作曲時、生後半年の娘ナタリーちゃんを亡くしたバーンズが、哀しみを乗り越え、新たな人生を歩みはじめるまでの姿を音楽で描いた、感動の大作だ。特に第3楽章は〈ナタリーのために〉と題され、慟哭の名旋律が展開する。つづく歓喜の第4楽章とともに、音楽の持つパワーを、これほどはっきりと示してくれる曲はないだろう。
     この4月、新しい道に乗り出したTKWOが、飯森範親の指揮で吹奏楽王道の3大名曲に挑み、いよいよ本格軌道に乗り出す。その瞬間を、ぜひ全身で受け止めていただきたい。〈敬称略〉

※出演者・曲目・時間等は変更になる場合がございます。