1. 『エヌマ・エリシュ』について
Q.『エヌマ・エリシュ』は、壮大な神話を題材にしていますが、音楽でこの物語を表現するにあたり、どのようにアプローチしましたか?
A.『エヌマ・エリシュ』は、世界創造に関するシュメール神話が基になっています。この神話は破壊と創造をテーマとする非常に残酷な物語で、この作品では、善と悪の果てしないドラマを描いています。
Q.作品の中で特に意識した場面や音楽的要素はありますか?
A.特に注目してほしいのは、神々の家族関係を描く無邪気な場面と、その神々の間に生じる激しい対立とのコントラストです。
Q.『エヌマ・エリシュ』のオーケストレーション(楽器の扱い)について、特に意識したことはありますか?
A.私は常に新しい要素を探し求めています。とはいえ、節度を持って取り入れるようにしていますよ。この作品の場合は、楽器の音域の限界を意図的に繰り返し使用すること、いくつかの拡張された技法の活用、そして旋法を繰り返し用いることが挙げられます。
Q.作曲の際に、他の音楽や文化的要素から影響を受けましたか?
A.関連する文化的要素からインスピレーションを得ることは、私の作曲において常に重要な要素です。時には、自分の過去の作品の一部を取り入れたり、他の作曲家へのオマージュとして特徴的な要素を引用することもあります。
2. 作曲スタイルと吹奏楽について
Q.オリオラさんの作品は力強くドラマティックなものが多い印象です。作曲の際に特に意識されていることは何ですか?
A.どのような作曲においても、私は常に「情熱」を追求しています。音楽を通じて感情を伝えるためには、共感力が不可欠だと考えています。
Q.これまでの作曲活動の中で、特に影響を受けた出来事や人物は?
A.この世の中には、私たちの行動に影響を与えるようなシチュエーション、特に感情に訴えるような出来事が常に存在します。そして作曲とは、それらの感情の一部を反映させた私たち自身の人生の一部なのです。作曲家として影響を受けた人物について言えば、私の作品には実にさまざまなスタイルの影響が含まれています。たとえば、ブラームス、ラフマニノフ、R.シュトラウス、ドビュッシー、ラヴェル、武満徹、アルフレッド・リード、シュトックハウゼンなどが挙げられます。
Q.スペインは日本と同じく吹奏楽が盛んだと聞いています。スペインの吹奏楽作品や吹奏楽文化の特徴は何だとお考えですか?
A.スペインの吹奏楽システムは、日本のシステムと同様に非常に優れたものだと思います。
ただし、その成り立ちは異なります。スペインでは、各町ごとに古くから続く私設の楽団が存在し、それが吹奏楽文化の基盤となっています。
近年では、国際的に高い評価を受ける作曲家が数多く活躍し、スペインの吹奏楽団に豊富なレパートリーを提供すると同時に日本のような吹奏楽大国と協力関係を築くことを可能にしています。
Q.これまで多くの吹奏楽作品を作曲されていますが、吹奏楽の魅力とは何だと思いますか?
A.吹奏楽は、現在あらゆる音楽スタイルを表現できる素晴らしい柔軟性を持っています。吹奏楽の世界は今まさに発展の時期にあり、今後も大きな未来があると確信しています。
3. さいごに
Q.日本の吹奏楽ファンの皆さまに向けて、メッセージをお願いします。
A.『エヌマ・エリシュ』が東京佼成ウインドオーケストラと飯森範親マエストロのもとで演奏されることは、私にとって大きな喜びであり、誇りでもあります。
日本の皆さんは、長年にわたり世界最高峰の吹奏楽団のひとつを持っていることを、本当に幸運に思ってよいと思います。コンサートを存分に楽しみ、ぜひこの素晴らしい楽団を愛し続けてください。東京佼成ウインドオーケストラは、世界の吹奏楽界において重要な存在なのです。