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【第165回定期演奏会】ジョン・マッキー氏メールインタビュー!

2024/05/30
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2024年6月8日(土)なかのZERO 大ホールにて開催される第165回定期演奏会では、オール≪ジョン・マッキー≫プログラムを、当楽団首席客演指揮者の飯森範親の指揮でお届けいたします!
公演に先立ち、ジョン・マッキー氏へメールインタビューを行い、マッキー氏の生い立ちから、吹奏楽に対する氏の心の内を伺いました。

あなたの生い立ちや作曲家としてのキャリアをスタートさせたきっかけについて教えてください。

私はオハイオ州の小さな町で育ちました。両親はアマチュアの音楽家(父はサックスとトランペット、母はフルート)だったので、音楽は身近な存在でしたが、楽器を習うことはありませんでした。11歳のとき、祖父がアップルコンピューターの音楽ソフトを使って作曲する方法を教えてくれて、それがすごく楽しくてずっとそのソフトで遊んでいました。
僕は今でもコンピューターで作曲するけど、最近はもっといいソフトがあるんだ!

日本でもマッキーさんの吹奏楽曲はたくさん演奏され、多くの人に愛されています。マッキーさんが考える吹奏楽の魅力について教えて下さい。

私は吹奏楽の万能さが大好きです。打楽器奏者が何人もいて、彼らは無限の色を作り出すことができます。また、日本の吹奏楽ファンの皆さんはとても親切で、私の音楽を演奏することを楽しんでくれているようで、とても恐縮だけど光栄に思っています。素晴らしい奏者たちと仕事をするために日本を訪れるのは、特に楽しいです。

どのようにアイデアを見つけ、それを音楽的な形にしていくのか、あなたの音楽創作のプロセスについて教えてください。

すべての作品は妻のアビーとの会話から始まります。彼女は私の作品すべてにタイトルをつけてくれます。協奏曲なのか、悲しげな曲なのか、お祝いのファンファーレなのか、長さはどれくらいなのかなどその曲に何をさせたいのかについて大まかに話し、それから彼女は自分のアイデアを話してくれます。私の音楽にはまずタイトルがつきます。アビーが素晴らしいタイトルを教えてくれたら私はソファに座り、コンサートに行くことを想像します。プログラムを開いてタイトルを読み、音楽が始まったら何が起こるかを想像し、そのタイトルは音楽としてどのように聞こえるだろうか?正確な音符はわからないが、その音楽の全体的な「音の世界」を把握するんです。散歩をしながらタイトルに合う音楽を想像することもあります。 音符ではなく、明るい音、暗い音、大きな音、柔らかい音、楽器の色など、どんな音なのかを想像します。
私はその音楽のひな形を考えるのに多くの時間を費やしています。これは音符とは別のもので、音符を書く前に行います。 頭の中だけで考えることもありますが、たいていはそれを紙に書き出します。こうすることで、音楽の全体像を一度に見ることができます。各セクションの長さ、どこで音が大きくなるのか小さくなるのか、新しいテーマが登場する場所などを把握することができます。 これによって、音楽を順番通りに書くこともできるし、時系列を見ながら「次はこの部分を書こう」と決めることができます。 だから僕は曲のエンディングを先に書くこともよくあります。
実際の音楽は音楽ソフトで書いていきますが、最初の音符を書くまでに何週間もかかることもあります。頭の中だけでなく、初めてここで音楽を聴くことになるので、この瞬間はとても怖いです。どの音符から書き始めるかを決めるのは、曲を書く上で一番難しい部分だと思います。少量の譜面を書いたら、それを聴いてから外に出てランニングをします。運動している間、その音楽が頭の中を何度もリピートします。こうしてコンピューターから離れて外で運動している時間が最高のアイデアを得るときなんです。
旅行中でなければ、だいたい1か月に5分くらいの音楽を書くことができます。

吹奏楽作品を作曲するときに何か意識していることやあなたならではのルールはありますか?

特別なルールはないけど、作品ごとに目標はあります。
主なものは、"観客に物語を伝えたい"というものです。これは文字通りの物語というよりは、観客を旅に連れ出したり、ある経験を見せたり、その経験がどのように感じられるかを伝えたいのです。
そして私の第一の目標は、観客とコミュニケーションをとることです。常に観客のことを考えて書いています。自分のために書くけれど、聴衆と共有できるまで音楽は完成しないんです。

あなたの作曲家人生におけるターニングポイントがあれば教えてください。

私の最初の吹奏楽曲はまさに私の人生を変えました。それは『レッドライン・タンゴ』という曲で、今回のこの東京佼成ウインドオーケストラのコンサートでも演奏されます。
最初のバージョンは、ニューヨークのバレエ団のために書いたピアノ、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットのための『ブレイクダウン・タンゴ』という曲でした。その1年後、私は交響楽団のために『レッドライン・タンゴ』という新しいバージョンを書きました。その録音を聴いたアメリカの吹奏楽指揮者たちが、吹奏楽のための新バージョンを書いてくれないかと頼まれ私は承諾しました。そうしたら吹奏楽版はアメリカですぐに大成功を収めました。 交響楽団のためのバージョンが演奏されたのは25回ほどですが、吹奏楽のためのバージョンは500回以上演奏されています。この成功が私のキャリアをスタートさせたことは間違いありません。さまざまな吹奏楽団と仕事をするようになってから、私はすぐに吹奏楽が大好きになりました。

あなたの作曲活動に強く影響を与えた他の作曲家や楽曲があれば教えてください。

数え切れないほどあります。新しい音楽を聴いていくうちに、その数はどんどん増えていきます。
サミュエル・バーバー、レナード・バーンスタイン、ジョン・アダムス、私の師匠であるジョン・コリリアーノや私のパーカッション作品に多くのインスピレーションを与えてくれたジョージ・クラムなどの音楽に特に影響を受けました。
若い頃はマイケル・ジャクソンの音楽が大好きで、信じられないかもしれないけど、彼の影響が僕の音楽にも出ています。彼の音楽は「オスティナート」というベースラインの繰り返しを多用していて、私も同じ手法を使います。それは『スリラー』のような彼の曲から学んだからなんです。
たくさんの音楽を聴いていますが、もっと聴くべきだといつも感じています。他の作曲家からはたくさんのアイデアをもらうことができます。最近、吉松隆の音楽を知りました。彼の『鳥は静かに...』という曲は、今まで聴いた中で最も美しい曲のひとつで、いつか吹奏楽のためにあんなに美しい曲を書いてみたいと思っています。

公演の聴きどころを、大井剛史&中橋愛生と、マッキー氏と交友の深い仲田守氏(TKWO OB/Saxophone奏者)がトークショーでご紹介した「第2回TKWO吹奏楽カフェ」のダイジェスト動画も、ぜひご覧ください!
第2回TKWO吹奏楽カフェ
前編後編

本公演のソリストを務める、当楽団コンサートマスター、サクソフォン奏者の林田祐和に『ソプラノ・サックスとウインド・アンサンブルのための協奏曲』の聴きどころとコンサートへ向けての意気込みをインタビューしました![インタビュアー:堀 風翔(TKWOホルン奏者)]
楽章ごとの聴きどころをはじめ、特殊奏法や選曲理由についてもお聞きいただけます!
【第165回定期演奏会】ソリスト林田祐和インタビュー - YouTube
動画はこちら

第165回定期演奏会

2024年6月8日(土) 18:30開演(17:45開場)
会場 なかのZERO 大ホール
指揮 飯森範親(首席客演指揮者)

オール≪ジョン・マッキー≫プログラム
オーロラは目覚める
ソプラノ・サックスとウインド・アンサンブルのための協奏曲
・独奏:林田祐和(当楽団コンサートマスター/Saxophone奏者)
翡翠
レッドライン・タンゴ
フローズン・カテドラル

■公演詳細

第166回定期演奏会