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プロの音楽家を目指す方へ (誰も書かなかった・・・かもしれない音楽家への道のり、心構え)

小倉貞行(Tuba)
2001.9.23

今回はメールマガジンを購読していただいている方からのリクエストにお答えします。
音楽家になるために必要なことや、心構え、レッスンを受けるときの注意点などを取り上げます。ただしピアノや弦楽器にまで範囲を広げると当てはまらないポイントもあるため、管打楽器奏者を目指す方を前提とさせていただきます。
例によって大変個人的な見解です。

○プロになるまでの道は本当に険しい。相当の覚悟を!
何の世界でも「プロ」と呼ばれる人になるのはとても大変です。特に音楽家はプロになれる人数がとても少ない割に希望する人が多いのです。『夢を追うってかっこいい』、『今楽器をやっているから』、『普通大学の受験勉強をするのがいや』などの理由で音楽家を目指すのは、はっきり言ってやめた方がいいと思います。目指すからには相当の覚悟をしてください。

○まず音楽大学へ
プロの奏者の中には音大へ行ってない人や外国の音大へ行った人もいますが、例外中の例外と思った方がいいと思います。その人は大変な実力と、幸運に巡り会ったのです。「・・ドリーム」はかっこいいですが、夢を実現できなくて消えていく人がほとんどなのです。まず日本の音楽大学へ行ってください。どこの音楽大学にするかは、普通大学の志望校を決めるのと同じく、演奏の実力、学力、入学金・授業料等の金額などで決めるのが普通です。習いたい先生が教えている大学へ行く、というのもいいと思います。

○絶対音感は絶対必要?
一時話題になった絶対音感は必要でしょうか。いいえ、必要ありません。でも音大受験の聴音で非常に有利であるのは間違いありません。プロの管楽器奏者の中では絶対音感を持っていない人の割合が多いと思います。特に移調楽器の演奏にはかえってじゃまになることもあるようです。また絶対音感と音程の善し悪しは別の問題です。
絶対音感は大人になってから付くものではありませんから、持っている人は有効に使い、持ってない人はあまり不利だと思わずにソルフェージュの勉強をしてください。

○レッスンを受ける先生を決めるには
音大を受験することにしたらまず自分の楽器の先生のレッスンを受けて下さい。先生を決めるには、自分が一番好きな演奏をしている人が一番だと思います。また、受験したい音大の先生につくことが可能な場合もあります。連絡方法は、会う機会があったら直接お願いする、学校の先生や楽器店に調べてもらう、詳しい人に紹介してもらう、オーケストラなどに手紙やメールを出してみる、といった方法があると思います。

○レッスンを受ける時気を付ける点
レッスンを受ける時に気を付けるポイントをいくつか上げてみます。ただ、先生によって違いますから先生の考えを最優先させて下さい。

・遅刻をしない
当たり前のことですが、音楽家が一番してはいけないのが遅刻です。プロのオーケストラでも遅刻が多いという理由で解雇された人が何人もいます。リハーサルでは全員がそろっていなければ始められないからです。レッスンの時間を決める時には必ず手帳などに日時を復唱しながら書き込むのがいいでしょう。そして準備があるのでレッスン時間の5~10分くらい前に着くのがいいと思います。(先生によって違いますので直接聞いて下さい)
もしやむを得ず遅刻してしまう場合は、必ず早めに電話すること。レッスン時間を過ぎてから電話をするのは大変に失礼になります。

・十分練習していく
これも当たり前ですが、十分練習してからレッスンに行きましょう。「あまり練習してません」と言われてレッスンをしても、先生は教える気が起きませんし、時間の無駄です。

・レッスンで泣くな!
特に女の子はレッスンで泣かないこと!泣いてしまったらもう何も言ってもらえません。きびしくても全て言ってもらいましょう。

・健康管理もレッスンの内
「風邪なので休ませてください」はプロ失格!練習の時にどんなに完璧でも本番で風邪をひいてしまっては何にもなりません。本番に向けて健康管理をするのもプロです。レッスンを受ける時にも同じ心構えで臨んでください。

○音楽家になるのはお金がかかる?
音楽大学が普通の大学より授業料等が高いのは、ピアノやホール等学校の施設にお金がかかるのと、個人レッスンが基本だからです。また入学するまでも楽器やピアノのレッスンなど、全て個人レッスンですからどうしても普通よりお金がかかります。またいい楽器を買う必要もでて来るでしょう。

○留学ってした方がいいの?
どうしても習いたい先生が外国にいる場合、音大を卒業してから留学してもいいと思います。学校によって違いますが、大学院に入る場合と、大学で楽器のレッスンのみを受けるケース、語学学校に行くことでビザを取って個人レッスンを受けるケースなどがあります留学経験者は大勢いますからオーディションで有利、ということは全くありません。

○外国のオーケストラに入るには?
外国のオーケストラで活躍する日本人を見て憧れている人もいると思います。ほとんどの場合、留学した先でオーディションを受けて入団しています。でも外国のオーディションに受かるのは日本以上に大変です。実力もそうですが、自国の奏者を優先させる場合があるからです。また、正式な労働許可が下りるまで何年もかかる場合があります。オーディションを受ける人数も年々増加しています。日本のオーディションで100人を超すことはあまりありませんが、例えばアメリカの場合、2~300人になってしまうのでまずテープ審査をするオーケストラが増えています。

○音楽家は職人と同じ、楽器をやめるまで追求・練習
プロになったら完成、と思う方もいるかもしれませんが、音楽家は職人と同じでいつも技術を磨いてなければなりません。プロになってからも演奏で悩んだり、調子が悪い時もあります。でももう尋ねる人もいません。自分自身で考え、解決しなければならないのです。それは楽器をやめるまで続きます。そこまで覚悟をしてください。

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