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ファゴット(バスーン)奏者本番前の心構えと準備

金崎守(Bassoon)
2001.7.29

本番の心構えと準備について三項目ほど上げてみました。どれに優先順位があるというわけではありません。三項目をバランスよく融合、準備するとことによって満足のいく結果が得られるかもしれないということです。

(一)楽器とリードのコンディション
まずは楽器のセッティングがきちんとしていないとリードの選択もできません。タンポ閉時の漏れはないか?開きは適当か?キーバランスはどうか?ノイズはないか?湿気てないか?トーンホールやボーカルに汚れや、ホコリ、水垢がたまっていないか?等々常日頃チェックしていなければなりません。
日頃のメンテナンスを怠ると思いもよらぬ事故を誘発する原因となります。ファゴットは意外とデリケートな楽器です。自分で漏れているなとわかるような場合は、相当を傷口が広がっている証拠です。大事な本番はなるべく早めにリペアレディー(マン)に調整してもらいましょう。

さあ楽器の調整が完ぺきになったら今度はリードです。これがとてもやっかいな代物で一筋縄ではいきません。自分の思い通りの音楽を表現できるのは、リードによるところが大変大きいといっても過言ではありません。
ここではリードの細部については触れませんが、リードは演奏者がそれぞれで形、寸法、厚さ、開き、材質、削り方等々千差万別です。これはこうあるべきであるという考え方にあまり固執せず自分にとって何がベターなのかと考えた方が柔軟なように思います。要するに現在の演奏形態と曲目に対する奏法とが自分に合っていれば良いのではないかとだけ述べておきます。本番用のリードは事故に備えて2?3本は必要でしょう。
練習所で本番用リードを完成させてしまうのはやや危険が伴います。本番会場と練習所での響きや、強弱、レスポンス等のバランスに大きなギャップを感じ戸惑うことが多々あるからです。
原因のひとつに音響空間の広さの違いや並び方の違い等が考えられます。したがって練習所では何本か使い回しをして、本番用リードに目印をつけ、当日会場にて響き具合いや湿度等を考慮し、微調整してから決定するのがベストかもしれません。微調整できない方々は、現在自分が最高と思うリードを使用するしかありませんが、本番用のリードを練習に長時間使用し過ぎると本番の時木目細かなレスポンスが得られなくなる可能性もあります。
また本番用にと使用せず取って置き、いざ本番という時何か違和感があり、演奏し辛い場合もありとなかなか難儀なのです。本番用にと思っているリードは1日1時間くらい使用するのがベターかもしれません。
リードは湿度やエイジング等によって毎日変化するものです。リードの在庫に余裕のある方は、曲によって使い分けるのもひとつの方法です。
以上のことを考慮して自分にとってのスーパーリードをご準備ください。


(二)音楽表現の具体的な技術対策(準備)と概念
私たちプロは練習に入る前から当然楽譜を入手し、十分な練習を積み重ねて練習初日には技術的なことや音楽表現上必要なイメージ等を個人的レベルにおいておよそ完成させて臨むわけです。スコアリーディングが伴えばさらに精度の高いものになります。指揮者も当然考えがまとまっています。そして両者が丁々発止と渡り合い(?)ながらさらに掘り下げて質の高い音楽作りを目指します。アマチュアの皆さんの場合は、個人練習、合奏、パート練習、合奏という手順を繰り返して本番に臨むのではないかと思います。この練習の時決定しなければならない技術的要素がたくさんあります。

美しい音色、音質で響いているか?正しい音程か?フレーズィングは?ブレスはどこで取るか?フィンガリングは?ディミヌエンドは響いているか?ハーモニーバランスは?柔軟な発音は?マルカートは?レガートは?スタッカートは?強弱は?等々の奏法を200%くらい完璧にするつもりで繰り返し能率よく練習する必要があります。これらの奏法を可能たらしめるものは(一)で述べたことと密接なかかわりあいがあるので、(一)をないがしろにすると満足いく結果は得られないでしょう。200%の自信を持って本番に臨んでも、失敗や事故はつきものです。とにかく練習あるのみです!!

技術的な裏付けができたら、どうしたら聴衆のハートをとらえられる素晴らしい音楽表現ができるのかを考えてみましょう。哲学といっては大げさになりますが、表現する上で大切なのは、主体的に自己表現をしようとする意志ではないかと思います。あなた任せではいけません。一人ひとりが強い意志を持ち、融合、収集することによって主張のある音楽になるのではないでしょうか?時にはやりすぎて嫌味になる場合もあるでしょうが、経験を積むことによって徐々に心地よい表現ができるようになるでしょう。主体的な自己主張を持たないのに、楽器を通せば何か表現できるかもしれないと考える人たちがいましたら、それは錯覚であり、大いなる幻想です。繰り返しになりますが、自然に体の中から沸き上がってくるものも含めて、音楽を感じ、主体的に何かを表現してみようとする積極的な気持ちが大切です。この気持ちは音楽の持つそれぞれのキャラクター表現に繋がっていくように思います。要するに『歌』ですね。


(三)健康のための心構えと準備
健康については言わずもがな!
本番には最上の精神と健康状態で臨むのがベストです。各自の責任においてコンディショニングをしましょう。ここでも主体的な強い意志が要求されます。夜更かし、深酒、ストレス、疲労の蓄積等々は当然悪影響を及ぼします。自己抑制です!
以上3項目の心構えと準備でいざ本番
グッドラック!!
ブラボーが待っている(?)

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