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効果的な練習の仕方のアドバイス

小倉貞行(Tuba)
2001.11.11

今回はメールで複数寄せられた『効果的な練習の仕方を教えてください』というリクエストにお答えします。もちろん「これが絶対いい!」なんて答えはありません。アドバイスの一つとして考えてください。
主に中学校・高校の吹奏楽部で行う効果的なパート練習・合奏を考えてみます。

●ウォームアップはできるだけ一人で
大勢でロングトーンやリップスラーをしている学校がありますが、ウォームアップはできるだけひとりで行い、静かに自分の音を聴く時間を必ず作ってください。「いい音」を出すためには合奏よりも自分の音を聴くことの方が大切だと思います。

●音のたれ流しはするな!
「今日の合奏は○○時間」と決まっているとあまり考えずにただその時間練習する人がいます。その結果音色や音程に神経を使わず、音をたれ流すようになってしまうのです(表現が汚いですが)。「ただ音を出す」ような練習はしない方がいいです。

●「いい音を出す」が基本
当たり前のことですが、音量を出すために音色を犠牲にしている学校がとても多く感じます。何のために音楽をしているのかもう一度考えましょう。とにかくいい音を出す、これが基本です。「いい音」とは「美しい音」「聞いていて心地良い音」そして「他の人ととけ込む音」だと思います。

●合奏の基本はアンサンブルから
どんな大編成の合奏でも基本は少人数のアンサンブルです。アンサンブルが集まって合奏をする、と考えた方がいい演奏ができます。同じ楽器のアンサンブル、木管アンサンブル金管アンサンブル、打楽器アンサンブルなどいろいろなアンサンブルをしてください。

●ハーモニーの練習
みなさんハーモニーの練習はしていますか?最近はハーモニーを練習できるいいバンドエチュードが出版されています。この練習でいつもいい響きを出していると、体や耳が正しい音程やバランス、サウンドなどを自然に覚えるようになります。

・まずユニゾンを合わせる
ハーモニーの練習といってもユニゾンが合わなくてはいけません。

・5度や3度の音程の取り方を覚える
次に5度や3度の音程を合わせましょう。本当にいい響きがするのは純正調ですが、特に3度は長調・短調で微妙に違うため難しいのです。あまり理屈にこだわらず、いい響きのする音程を覚えてください。「ハーモニーディレクター」などを使うのもいい方法だと思います。

・バランスでサウンドは変わってくる
たとえ音程が合っていてもバランスが悪いといい響きがしません。例えば根音よりも3度の音が大きすぎるとサウンドは良くありません。これも理屈ではなく耳と身体でいいバランスを覚えてください。

●「自己主張」と「人に合わせる」、両方練習しよう
曲の中では自己主張をする部分と、人に合わせる部分とがあると思います。もちろんいつも両面を持っているのですが、はっきりと自覚して演奏する練習もしましょう。

・歌う!歌う!歌う!
メロディーをとにかくとにかく音楽的に歌う(演奏する)練習をしましょう。自分が思っているように、感情をはっきり出して演奏してみましょう。でも「ソリスティック」は「異物感を出す」という意味ではありません。自然で、人ととけ合ういい音で演奏してください。

・メロディー以外でも自己主張する時がある
「自己主張」は必ずしもメロディーとは限りません。例えばマーチの打楽器やテューバ、ポップスのドラムセクションなどです。リズムであっても自分が正しいと思うテンポやリズムを主張できるようになってください。

・合わせる!合わせる!合わせる!
次に人に合わせる練習をしましょう。とにかく聴いて聴いて合わせるのです。合奏のおもしろみはソロよりも人に合わせることにあると思います。

●「○○パートにとけ込ませる」練習をしてみよう!
周りをよく聞き、アンサンブルを良くする方法の一つです。人間の耳はとても不思議で、いろいろな音が鳴っていても神経を集中すると一つの音だけがよく聞こえたりするのです。例えば合奏の中で「今回はクラリネットをよく聞いて、全員がクラリネットのサウンドにとけ込ませてみる」、「次はホルン」といった練習をしてみて下さい。そしてその中心になった人は他のパートをリードするつもりで演奏しましょう。お互いによく聞き合うようになり、とけ込んで一つになったサウンドが出せるようになるでしょう。

●プロのバンドはどんな練習をするの?
プロのバンドがどんな練習をするのか興味を持っている方がいると思います。佼成ウインドは公開リハーサルを行いませんので残念ですがお見せできません。でもご覧になったとしても、特別なことはせず、リハーサル時間が短いと思われるでしょう。例えば今年のマーチの課題曲の録音には前日の練習一日だけ、一曲1時間、計4時間のリハーサルです。
内容は全体のテンポや、テンポの変わり目の打ち合わせがほとんどです。
なぜそれで十分なのかというと、奏者個人個人はリハーサルに来た時点で全て演奏できる状態で、音程やリズムも個人が責任を持っているからです。リハーサルではテンポ・音程・縦の線など周りをよく聞き神経を集中させています。そのため短時間のリハーサルですむのです。

みなさんも神経を集中させて周りを聴き、合わせることでより密度の高いアンサンブルができると思います。

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