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木管楽器を持っての移動について

宮村和宏(Oboe)
2009.7.12

皆さんこんにちは。
もうすぐ暑い夏、そう、吹奏楽コンクールに燃えるシーズンに突入しますね。
コンクールが行われる会場はいつもの地元とは限りませんよね。山沿いに住んでいる人が海沿いに行くこともあればその逆もあります。当然いつもの環境でいつもの様に吹いているようなコンディションには自分の体も含めてなかなかならないのですが、実はその移動中にリードや楽器に変化が起こった結果、コ
ンディションが悪くなることがあるのです!!!今回はそのリスクをできるだけ回避する方法を紹介します。

「楽器は丁寧に扱う」当たり前のことなのですが、どのくらい気を使えばよいのでしょうか?
当然、何らかの衝撃によりキーが曲がるなどといったことは言語道断です!わずかな衝撃でも調節ねじがわずかに回ってしまうこともあります。この「わずか」が大きいのです!私の過去の経験では、中学生のころですが、楽器を入れたかばんを新幹線の床の上に置いたところ、走行中の振動でほとんどすべてのねじが緩んでしまって音が出なくなったことがあります。自転車のかごは当然NG。車のトランクも絶対駄目(これは次の項の温度にもかかわりますが)。車や電車などでの移動中のベストポジションは座席の上で安定させるかひざの上です。飛行機に乗るときはオーボエのような小型の楽器は必ず手荷物で持ち込み、また、ひざの上に荷物を持つことを認めてもらえないので、座席上の荷物入れに入れるのですが、楽器ケースをケースカバーに入れた状態だけではなく、さらにカバンに入れ、楽器ケースの周りに楽譜やタオルなどを入れて衝撃を少しでも吸収させるように工夫しましょう。自転車に乗る場合はリュックに入れるなどして、できるだけ安定させて自分の体で衝撃を吸収するように注意してください。

基本的にオーボエをはじめとする木管楽器は天然素材でできています。天然素材は気温、湿度、気圧の影響を受けます。当然これらの変化が少ないことはとても良いことです。冷凍食品のことを考えてみてください。なぜ生の食材に味が劣るかというと、冷凍することで一度細胞がパンパンに膨れ、常温に戻る際にその細胞が破れたりしてうまみ成分が流れ出してしまうからです。どんなにうまく解凍しても細胞がまったくの元通りの形になることは無いのです。これらの変化は楽器の見た目にはあまりわかりません。でも、これがわずかな息漏れなどにつながり演奏精度そのものを脅かすのです。
遠くの会場への移動中、その移動媒体である交通機関は様々なシチュエーションを通過します。一時的に山を越えたり、トンネルに入ったり、もしくは雨の降る地域を過ぎなければならないことがあります。飛行機にいたっては人間が苦痛を感じない程度の加圧などをして気圧をできるだけ保ちますが、生きた人間の体と違って適応能力など無い楽器にはそれも十分ではありません。これらは要注意!楽器本体やタンポだけでなく連絡キーのクッションコルクまでもが膨らんだり縮んだりして調整が狂ってしまう原因になります。これを解決する方法は密閉してしまうことです。旅行グッズの「衣類の圧縮袋」に入れて空気を抜いてしまえばよいのです。こうすれば中の圧力、湿度が一定になりほとんど狂うことはありません。ただし空港の荷物チェックで開けさせられると厄介ですが(私もこのあいだウィーンの空港で開けさせられました・・・)。温度に関
しては人間が快適な空間におくようにすれば大丈夫です。間違っても日がカンカンに照る窓際などに放置してはいけません。

リードに関しても同じです。気温、湿度、気圧の影響を受けます。その管理に今は便利なものがあります。リコ社のリードバイタライザーという密閉と加湿をして気圧と湿度を保ってくれるグッズがあり私も愛用しています。

もちろんこれらのことにどんなに気を使っても当然現地で開けた瞬間から楽器もリードも変化します。一番良いのは開けないこと(笑)でもそんなわけにはいきませんよね。しかし、これら対応のおかげでその変化は最小限で済むのです!
さぁ、いっぱい練習するだけでなく、楽器の管理にも気をつけて、ベストコンディションで本番に臨みましょう!

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