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新年度に備えて楽器の点検をしよう!<木管編>

前田綾子(Flute)
宮村和宏(Oboe)
大浦綾子(Clarinet)
有馬理絵(Bass Clarinet)
福井弘康(Bassoon)
田中靖人(Saxophone)
2011.3.6

もうすぐ新年度。新入生も入ってきて新しい体制での活動が始まりますね。
その前に、皆さんがいつも使っている楽器の点検をして、いい状態の楽器でスタートしましょう(^O^)
特に学校の備品の楽器に注意!壊れたまま楽器庫で泣いていませんか?楽器はみなさんの言葉を伝える体の一部です。どんなに一生懸命練習しても、楽器の調子が悪いと思うように表現出来なくなりますから、日頃のメンテナンスがとても大切です。

 では楽器別にチェックポイントを説明しましょう。


♪フルート(前田綾子)

◆頭部管の反射板の位置を確認しましょう。

掃除棒の先を頭部管に差し込むと、歌口の中央に掃除棒の縦線(棒の先から1.7センチに線が刻まれています)が見えるようになっています。

mai1.jpg
これが少しでもずれていると、低音から高音のスケール音程が狂ってしまいます。縦線が深い場合はヘッドキャップを緩めてコルクと反射板を押し込みます。

逆に浅い場合はヘッドキャップをしっかり締めて位置を調節してください。
また、ヘッドキャップを締めても回りやすいのは、コルクが老朽または乾燥して縮んでいるのが原因です。コルクを交換してもらうことをお勧めします。

◆連結して動くキィを点検しましょう

目で見てわかるほどキィが浮いているような状態の楽器は、直ちに楽器店でのメンテナンスが必要です。皆さんにチェックしてもらいたいのは、目ではわからない調整の狂いを見つけることです。もっとも狂いやすいのは以下の連結キィ。
☆ブリチャルディ・キィ(B)を押さえると、人差し指と連結して動くキィが浮く。
☆薬指(G)を押さえると隣のキィが浮く。
☆右人差し指(F)を押さえると連結して動く二つのキィが浮く。
☆右薬指(Fis)を押さえると連結して動くキィが浮く。
浮いているかは、目ではわかりません。音を出しながらゆっくりと動かしてキィを押さえると、音が曇ったりキィが閉じる寸前に音が出ない症状が現れます。


♪オーボエ(宮村和宏)

◆基本的に、暫く調整していない楽器は楽器屋さんに持っていってチェックしてもらいましょう。オーボエは他の楽器に比べて連結が多いため初心者には判断が難しいのです。よく、調整がダメなのに自分が悪いと思って無駄にあがいている初心者に出会います。

◆もっと気を付けて欲しいのはリードです。代々先輩から受け継いだ熟成されたリードからはえもいわれぬ芳しい音色が・・・何てことはぜったいありません!是非最初から複数揃えて、清潔に保ち、ローテーションして練習することが上達の近道です!


♪クラリネット(大浦綾子)

◆タンポが取れそうになっていたり破れているときは交換してもらいましょう。水を吸って異常に膨らんだタンポも雑音や音程が悪い原因になるので要交換です。

◆楽器にヒビが入っていませんか?寒い場所で練習すると楽器が割れることがあります。上管の上の方をよ~く観察してみてください。トーンホールから縦に細い細い筋が延びていたら、それは割れかもしれません。すぐに修理に出しましょう。修理すれば今までどおりに使えますよ。

◆全部押さえたシの音を吹きながら右手小指だけ離したとき音が出なくなるようなら、下管のここのタンポが浮いています。

mai2.jpg

同様に、ジョイントをぴったり合わせた状態でF1の替え指のシ♭が出ないようならここが浮いています。
mai3.jpg

そのままだとレガートがかかりづらいので、調整してもらいましょう。


♪バスクラリネット(有馬理絵)

◆最低音がスムーズに出るかチェックしましょう。指に力を入れなければ出ないようならタンポに問題があるので修理が必要です。

◆キィのカチャカチャという雑音はありませんか?雑音が多い場合、コルク、キーバランスに問題があります。

◆ジョイントのコルクは薄くなっていませんか?コルクが薄くなっていると、下管が落下する恐れがあり、とても危険です。


♪ファゴット(福井弘康)

◆楽器のジョイント(コルクや糸が巻いてあるところ)が緩くなってはいませんか?少しでもぐらぐらしていると隙間が出来ていて音が出にくいので、調整に出しましょう。

◆タンポが破けていたり、ブヨブヨになっていたりはしませんか?ブヨブヨになっているのは水分を含み過ぎていてもう使えないので、すぐに交換してください。

◆キーはちゃんと正しく動きますか?ファゴットは色んなところにバネやフェルト・コルクが付いているので、外れていないか確認しましょう!

◆タンポはちゃんとふさがっていますか?小さいキーは大丈夫だと思いますが、大きいキーはチェックしてください。目で見て分からない場合は、細く切ったクリーニングペーパーをタンポの色んな方向から挟んで引っ張って見てください。ちゃんとふさがっていないとスルっと抜けてしまいます。それはタンポが浮いているということなので、調整に出した方が良いでしょう。


♪サクソフォン(田中靖人)

◆サクソフォンは金属製なので、へこみや歪みは大敵です。トーン ホールに影響するようなへこみや歪みは必ず修理が必要です。ベル辺りの小さなへこみは影響ありませんが、形が変わるような歪みは修理が必要です。

◆直接音に影響があるのはタンポです。最近は防水タンポが主流なので、普段の手入れは吹いたあと、軽く水分を除く程度で大丈夫ですが、一度水分を含んだタンポは色が変色したり硬くなってしまい、塞がりに影響してきます。黒っぽくなったり、音の反応が悪いときはチェックしてもらって、必要なら交換してもらいましょう。

◆あとよく見かけるのは、マウスピースについてです。これはメンテナンスではなく、古いものを代々使っているため、音が出にくくなってしまっているものをよく見かけます。そうなる前に、新しいものに交換すべきだと思います。マウスピースは消耗品なので、2・3年が寿命と思ってください。

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