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クラリネット「キャー」撲滅"キャー"ンペーン!

大浦綾子(Clarinet)
2013.3.17

皆さんこんにちは!クラリネットの大浦綾子です。
 コンクール会場に響き渡るクラリネットの静かで美しいメロディー。「上手だなあ♪」と思った瞬間「キャー!」・・・orz,審査しているとこんなことがよくあります。クラリネットにキャーはつき物,"キャラリネット"なーんて言われることもありますが,演奏の中では紛れも無い雑音で,無いほうがいいに決まっています。私もときどきやっちゃいますが,何より出した本人が,その瞬間サーッと興ざめしてしまうものです(涙)。

みなさんはクラリネットでキャーが出るのは仕方ないことと諦めていませんか?いえいえ,そんなことはありません!キャーの出る理由と対処法さえ知っていれば,あのイヤーな思いをしなくて済むんです。今日は一緒に,キャーを出さない吹き方を考えてみましょう。できれば実際に楽器を出して吹いてみてください♪

まず,キャーとは何か?これは説明すると楽器の仕組みの話で長くなるので割愛しますが,簡単に言うと高次倍音が出ているのです。例えば金管楽器は同じ指でもアルペジオでいくつもの音を出せますね。実はクラリネットも同じ指で違う音が出せます。金管の場合,音をはずしても実際の音の2度か3度近くの音だし,フルートなどは1オクターブの違いなので和声にはまっていて目立ちませんが,クラリネットの場合,実際の音とはとんでもなくかけ離れた高音で,すごーく目立ってしまうことが悲劇なのです。

キャーが出る大きな原因は,次の2種類のバランスの崩れです。
1 音域と息の方向の関係
2 管の長さと息のスピードの関係

これを見ると,どちらも「息の入れ方の問題」ですね。そう!キャーとは,息の使い方のミスなのです。

 では説明していきましょう。まずは「音域による息の方向」から。チューニングのB♭の上のソの音を吹いてください。次に,同じ指のまま,息を上向きに当てるイメージ,または裏声を出すイメージで吹き込んでみましょう。音がひっくり返って高いミの音が出るはずです。先ほどの説明の中で「同じ指で違う音が出せる」と言ったのはこのことで,このひっくり返ったミが「キャー」というわけです。

上の音が出せたら,ソ→ミ→ソ→ミと順番に鳴らしてみましょう。このとき,下の音は息を下向きに,上の音は息を上向きにというイメージをしっかり持ってください。慣れて来たら次は半音上がってソ♯→ファ,次はラ→ファ♯と順に上がってみてください。自在に上下を操れるようになりましたか?あとは,楽器を吹くときに,下向きの息と上向きの息を使い分けるだけ。低い音のときにちゃんと下向きの息が入っていれば,音がひっくり返ることはなくなります。
ちなみに逆に言うと,高音を吹くときは上向きの息に切り替えるだけで,力むことなく高い音が楽に出せますよ。

では次に「管の長さによる息のスピード」。開放のソから短三度上のシ♭までをスロートと呼び、この音域は塞がっている管が短いので,抵抗が弱く楽に音が出ますね。それに対してチューニングのド前後の音は管が長く抵抗のある音です。出やすい音と出にくい音では,当然息の使い方は違います。スロートでは息のスピードは遅く,ドのような管の長い音域では瞬間的にベルの先まで届くように息のスピードを速くしないと良い音で鳴らせません。ところが,管の短いスロートの音域で間違えてスピードの速い息が入ってしまったとき「キャー」が出ます。たとえば,チューニングのドと開放のソを,ド→ソ→ド→ソ・・・
とfで繰り返してみてください。ドの息のままソを吹くと音がひっくり返りませんか?ドからソに移るとき息のスピードを緩めるイメージで吹くと,キャーが出ない上に柔らかい音色のソが出せます。ただ,ここで気を付けてほしいのは,"息のスピード"と"音量"は関係ないということ。息のスピードを緩めるというのはpで吹くという意味ではありません。fでも息のスピードの遅い吹き方,また逆にpでも息のスピードの速い吹き方を練習してみてください。

 キャーが出る原因,わかっていただけたでしょうか?大切なのは息の使い方です。息の方向やスピードを自在に操れるようになると,キャーのない明るいクラリネット人生が待っていますよ♪

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