2年のブランクがあります。久しぶりに楽器を吹いてみたら、タンギングがほぼ出来なくなっていました。スタッカートをつけることも出来ません。割と高音域では何とかなるのですが、チューニングBより下の音だと、タンギングすると9割音が外れます。マーチの刻みすら綺麗に吹けず、とても悲しいです。
恐らくブランクでアンブシュアがおかしくなってしまったのだと思うのですが、やはりそうでしょうか?
出来るだけ早く元通りに治したいのですが、社会人で楽器を吹く時間があまり取れません。どのような練習をすればいいでしょうか。
実際に見てみないとわかりませんが、しばらく練習すれば直るかもしれませんし、かなり難しいかもしれません。
このような状態は初心者からプロまで起こる可能性があります。
CDを出しているような世界的に有名な奏者でも、演奏できなくなってやめてしまった人が何人もいます。
奏法が悪いのなら理解できますが、理想的な奏法だと(私が)思っていた奏者もいます。
ですからトラブルの完全な理由と対策はありませんが、いくつかのことをチェックしてください。
【力任せに吹いている場合】
若いときに力で吹いているタイプはある程度の年齢になると必ず壁にぶつかります。
できるだけ無駄な力を入れずに吹く習慣を付けてください。
【唇の振動がおかしくなっている場合】
テューバやトロンボーンなどマウスピースが大きい楽器で起きやすいのがこのトラブルです。
タンギングもおかしくなるので、今回はこの可能性が高いと思います。
タンギングができなくなると舌のことを考えてしまいますが、唇の振動がおかしいと息や舌のことを気にしてしまいます。
まずmp~mfくらいでロングトーンをして唇の振動が自然になるように心掛けてください。
ひそひそ話や怒鳴り声が声帯に負担を掛けるのと一緒で、まず楽な音量で吹くことが大切です。
発音がうまくいかなくても舌のことを気にしてはいけません。
タンギングのトラブルのほとんどがブレスか唇にあるからです。
「舌をつかずに吹いてもいい」と思うくらい気楽に吹きましょう。
その後はレガートのメロディーなどをゆったり、心地よく吹くような練習をして下さい。
リップスラーよりもメロディーがいいと思います。
音と音の間がスムースに、密度高く繋がるように・・。
唇の振動が良くなってきたらタンギングの練習もするといいでしょう。
でも、うまく吹けなくても気にせず、息の流れを意識して下さい。
うまく吹けないとブレスが浅くなります。
「大きなブレス」ではなく「深いブレス」を心掛けてください。
速いブレスは浅くなりがちなので、少しずつゆっくりとブレスすると深いブレスになります。
【精神的な場合】
プロのオーケストラ奏者やソリストが陥りやすいのがこのケースです。
絶えずプレッシャーの中で唇などを酷使しているため体が拒絶反応を起こし、唇が締まらなくなることもあります。
この場合にはカウンセリングなど、かなり難しくなります。
また、トランペット奏者のハイトーンなど「昔は出たのに・・・」と思うことも危険です。
体は年齢と共に変化していきますから、その時のベストの演奏を心掛けるべきです。
今回のご質問のケースはおそらく2番目だと思いますが、「プロでもなるのか・・」と思って気楽に練習して下さい。
小倉 貞行