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トランペット037|トランペット|東京佼成ウインドオーケストラ Tokyo Kosei Wind Orchestra
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Q & A by TKWO Players
奏法Q & A

trumpetトランペット

私は個人レッスンを受けているのですが、レッスンの先生に、「基礎が上手になってきたけど、曲に生かせてないね。」と言われました。個人的には、基礎の方が好きで、曲になるとリズムや流ればかり気にして音色や自分の音がどう鳴っているかは余裕を持って聴けません。基礎練習では主にスケール、リップスラー、スラーの付いたいろいろなリズム練習などをしています。リップスラーは割と得意です。最高学年になったので、行事等でのsoloも多くなってきました。曲中にかっこいい音が鳴らせるようにするにはどうすればいいですか?

私の目標は、「ステージで良い演奏をすること」です。
良い演奏とは、曲の良さを理解してそれを音に変換し、聴く人にその曲の素晴らしさを伝えるということです。
コンサートホールや学校の体育館、ライブハウス、あらゆるステージで、時には一人で、時には仲間と一緒に、良い演奏ができることが私にとってのゴールです。

基礎力があるということは、その先にある「ステージで良い演奏をする」ための能力を有しているということです。
では、基礎練習と曲の演奏では、何が違うのでしょう?
「脳」が違います。

基礎練習時の脳は、個々の技術の完成形をイメージしています。例えば正確でクリアなタンギングとか、スムーズなリップスラー、速いフィンガリング、正確なリズム等々。

曲を演奏しているときは、より高度な情報処理能力が必要です。
楽譜に書いてある楽語や表現記号、アーティキュレーションなど、作・編曲家が楽譜に託したおたまじゃくし(音符)以外の様々な情報を、自分のもっている全ての能力を駆使して音に変換する。フレーズと曲全体の構造を把握する。この場面は自分がどういう役割なのか、誰がメロディーか。音符の長さやリズムのキャラクターなど、どういうスタイルが曲に合っているのか。fとあっても、後でffが出てくるのか、fが最大なのか、木管主体のfなのか金管主体のfなのか。ハーモニーの和にきちんと混ざっているか等々・・・

基礎練習時の脳が多分に「ラッパ吹き脳」だとしたら、曲を演奏するときには「ミュージシャン脳」になっているのです。
ラッパ吹きとしては、タンギングやリップスラーや柔軟性など難しいテクニックですが、ミュージシャンとしては、それを聴く人に「難しそうだな」と悟られてはいけません。そして技術的なことは考えず、音楽のことに集中します。

つまり・・・
自分の「ラッパ吹き」としての都合で音楽が台無しにならないように基礎練習はとても大事です。
でも、最終的にはあなたがミュージシャンでなければ、せっかくの基礎力も曲に活かされません。

私も留学先で習っていたトランペットの先生によく「Be a Musician」(音楽家であれ)と言われたものです。

「かっこいい音」と漠然と思っているだけではなく、「この場面に合う音」と具体的にイメージしてみてください。
それがミュージシャンへの第一歩です♪

安藤真美子

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